2012年10月14日日曜日

溶かして 磨いて くっつけて

 
 
 
 
 芸術雑誌の中の、ある画家の書いた文に興味を惹かれた。あら筋は、その人は物心ついた頃から絵を描くのが好きで、中学生になると技術を学ぶためサークルに入り、裸体のデッサンなどを何度も練習したりしていた。高校大学と専門的に美術を学び、作家の道に進むのだけれど、自由な絵を描こうとしても構図やバランスへの意識が邪魔をして、自由に描けないことに躓(つまづ)いた。つまり染み付いた技術がその作家を縛り付けたのだった。
 基礎を身につけることで、幅が狭くなることが有り得ると知った。逆に幅を利かすための学びとは?と考え始めると、ややこしくて単純な僕の回路が止まってしまった。
 
 11.12日にボローニャのブロンズ屋さんに3人で行って参りました。
 8月末に預けた蝋がようやくブロンズになったので、引き取りに行きました。僕は初のブロンズ屋さんに興味津々で、職人さんたちの邪魔になりながらも、その作業工程を観察したり、手伝わせてもらいました。             

サビアトリーチェに両腕を入れ、ガラスから覗き作業する。
細かい砂を吹きつけてブロンズに付いたセラミック(型に使用する素材)を取り除き、表面に細かな傷をつける。
きっと錆などもよーく取れることだろう・・・・・・・・・・・さびをとるーじぇ?


   ブロンズ(青銅)とは銅を主成分にスズと亜鉛を混ぜた合金の物だそうで、鉄より柔らかく叩くと変形し、磨くと光沢が出やすいことを発見しました。
 
溶接を行うロマーノさん。
今回の作品はドアの規格に合わせなければならないため、繊細な調整が必要とされる。
作家の細かな注文を聞き取る70歳のロマーノさん。

夜は4つ星ホテルに泊まりました。
こんなところに一人で泊まっていいのかしら?
 

先月、仕事中に指を落としてしまう大怪我をして休業中で朝美さんが信頼する、職人のセルジェさん(右)。。
たまたまショッピングセンターで朝美さんを見つけて声をかけてくれ、思いもよらぬ再会。
とても腕の良い職人さんということもあり、とても辛い。
  ボーローニャ観光よりもブロンズ屋で働けることの方が嬉しくて、作品の調節や磨きをしてるとあっという間に2日が過ぎました。朝美さんの彫刻はブロンズ屋さんの情熱と一度溶かした青銅への大胆さと繊細さの混ざった技術を経て、より美しく輝きを放った。

磨きにかけられた水芭蕉

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